【レポート】北海道・中標津空港エリアワーケーション取材レポート(前編)
大地と海の壮大さに心震える!自然の恩恵を余すことなく味わうワーケーション
― 根室中標津空港から始まる、“ひがし北海道の冬”濃密ステイ ―
北海道東部の「ひがし北海道エリア」は、世界自然遺産『知床』や日本国内初のラムサール条約登録湿地『釧路湿原』などに象徴される“自然のワンダーランド”。
その中でも“東の最果て”に位置する「中標津空港エリア」(中標津町・標津町・別海町・羅臼町・根室市の1市4町)は、根室中標津空港をアクセス拠点としたコンパクトな範囲に、市街地はもちろん、雄大な自然が感じられる観光スポットが詰まった “遊びと仕事を両立しやすい”地域です。
羽田便が1日1往復運行する根室中標津空港を利用した、働きながら休暇を取る“ワーケーション”のモニターツアーが行われ、ANAグループ社員13名が参加しました。
「冬の寒さと静けさを体感しながら、グループ社員同士で熱く語り合えた旅」と参加者から好評を博した3泊4日のツアー。
同行した「わらって地域ソウセイ!編集部」が、<“冬の中標津空港エリア”の魅力 3つのキーワード>を紐解きながら、ツアーの様子をレポートします。
<“冬の中標津空港エリア”の魅力 3つのキーワード>
その① 酪農
その② 最果ての地
その③ 海の幸
<“冬の中標津空港エリア”キーワード その①【酪農】>
■宇宙からも見ることのできる格子状防風林を見下ろしながら、
「ひがし北海道に来た!」を実感
羽田空港を出発して約1時間半。高度を下げ始めた飛行機が雲を抜けると、眼下には、どこまでも続く格子状の塊が…。
その正体は、防風林。
農作物への風害を防いでくれるほか、人命をも脅かす冬の嵐が発生する根釧台地においては欠かせないもので、雄大な酪農景観のシンボルでもあります。

そんな風景を眺めながら、“人口約23,000人に対し、牛の数約43,000頭 人の数より牛の数の方が多い”、道内でも有数の酪農のまち『中標津町』に降り立ちました。
■木の温もり感じる空港で牛の親子に迎えられほっこり気分
ロビーに漂うアットホームな雰囲気。初めて訪れた人にも居心地のよさを感じさせる根室中標津空港は、日本初の“木造”ターミナルビルで、天井も柱もテーブルも椅子も木製。木の温もりに包まれたロビーでは、牛の親子のオブジェが訪問者を迎えてくれます。

もちろん外観にも木がふんだんに使用されています。

空港出発から10分も経たないうちにバスは中標津の市街地へ。
ホテルにチェックインし、さっそくワークタイム。
雪に霞む空をほんのり赤らめていく陽の光を感じながら、仕事に取り掛かります。窓を開けると、雪国らしいツーンと冷えた空気が流れ込んできて、一瞬でしゃんとした気持ちに。

ホテルには含硫黄ナトリウム塩化物泉が楽しめる大浴場も!「化粧水のようになめらかなお湯で肌がツルツルスベスベになったと感じた」「体の芯まで温まった」と参加者から好評で、1日の終わりに豊かさを添えてくれたようでした。
■ロボットとの連携作業で、牛にも働く人にもやさしい酪農を!
未来を見据えた挑戦に胸が熱くなる朝
ワーケーション2日目の午前中は、観光タイム。
酪農のまち『中標津町』で、IT技術やロボットを駆使した“新しい酪農モデル”を模索する牧場『希望農場』の見学からスタートです。

まず初めに参加者に驚きを与えた光景…それは…
きれいに整列してレーンに収まっている牛たち。

このドーナツ型のレーンは、『希望農場』がアジアで初めて導入したロータリー型式搾乳ロボット。
牛が順番にレーンに入ってきては、搾乳を終えると牛舎に戻っていきます。
東京ドーム約60個分もの広さの敷地に約650頭の乳牛を有する希望農場は、たった5名で牧場内の仕事を回しているそう。ロボットの導入により、搾乳にかける人手を4名から2名に減らせたうえ、従来と同じ作業時間で2倍の頭数を搾乳できるようになるなど、生産性の向上につながったそうです。
ほかにも牛舎では…

散らばった餌を集めてくれるロボットが活躍していました。
「牛を好きな人が酪農に携わりやすくなる環境を作りたい」そんな想いを聞かせてくださった希望農場の社長。
自動化やIT化を進め、管理が容易になることで、酪農に関心のある次の世代へ事業を継承しやすい環境を作る。それは、「家族経営が多く、後継者が減ると廃業することになってしまう」という酪農の課題への挑戦だそうです。
希望農場では、牛の状態変化をリアルタイムで知ることができるAI技術も導入。牛1頭1頭に取り付けられたデバイスを使い、発情や分娩予定日などの情報を数値化して把握できる仕組みだそうです。

従来は勘と経験に頼らざるを得なかった部分にAIを用いることで、牛が健康に育つ環境も整備されています。
「旅先で、強い意志と考えを持った生産者から直接話を聞き、地域の課題について考える」という体験は、参加者にとって、ワーケーションならではの貴重な経験だったようです。
見学終わりに、希望農場内のカフェ『2πCOWS CAFE』で、温かい『なかしべつ牛乳』をいただきました。あっさりとした口当たりながら、コクと甘みがしっかり感じられ、満足感をもたらしてくれました。

■酪農への理解を深め、酪農家の想いに感じ入り、特産品に愛着が湧く…
お土産は中標津エリア産の乳製品に決まり!
中標津エリア最大の商業施設『東武サウスヒルズ』には、近隣地域で生産された乳製品が豊富に並んでいます。

『なかしべつ牛乳』はもちろん、ミルク感あふれるチーズも数多くラインナップ。

ワーケーション最終日に立ち寄った際、中標津の酪農について話しながらお土産の品を選んでいた参加者たちの姿が印象的でした。

地元の酪農事業者とのコミュニケーションが、参加者の“生産者に対する感謝の気持ち”を強くし、“特産品への愛着”を湧かせたようでした。
■空港に程近い場所で味わえる中標津のミルクを使ったカラフルジェラート
根室中標津空港から車で5分もかからない場所にある乳製品工房『ラ・レトリなかしべつ』。

ここでは、中標津産の生乳で作られたイタリアンジェラートが味わえます。
ミルク、いちご、かぼちゃ、抹茶、ブルーベリーヨーグルト…老若男女問わず気分が上がってしまう色とりどりのジェラート。

しっとりとした雪景色を眺めながら、ログハウスを思わせる温かみのある店内で、仲間と共に過ごした旅を振り返る…。
旅の終盤、ホッと一息つくのにピッタリのスポットです。

店内では、中標津産の生乳から作られたのむヨーグルトやチーズも購入できます。
中標津で育まれた恵みを、旅の思い出と共に味わえる。そんな場所が空港から程近い場所にあるのも中標津空港エリアの魅力です。
<“冬の中標津空港エリア”キーワード その②【最果ての地】>
■厳冬期限定の絶景!
凍った海の上を歩きながら、どこまでも続く“氷平線”に圧倒される
ワーケーション2日目午前。『希望農場』の後は、“最果ての地”を感じるアクティビティへ。
中標津町より海側に位置する標津町・別海町に向かいます。
目指すは、『根室海峡』に面し、鍵のような形で海に突き出た『野付半島』。根室海峡を南下する潮流により運ばれてきた砂が長い年月をかけ堆積することでできた、全長約26km・日本最大の砂嘴(さし)です。
2005年ラムサール条約に登録された野付半島は、250種類以上の野鳥が確認されてきた“野鳥の楽園”。
野鳥の他にもエゾシカ、キタキツネ、アザラシなどの野生動物と出会うことができ、春から秋にかけては月ごとにさまざまな植物が咲き誇る“自然の花園”でもあります。

そんな手付かずの自然が残る野付半島の冬の魅力。
それは、“凍る海”。
凍った野付湾の上を歩きながら、広い空とどこまでも続く“水平線”ならぬ“氷平線”が織りなす絶景を味わうことができます。
砂礫でできた野付半島には山がなく、空の広さは格別!
晴れた日には、太陽の光が氷の表面にキラキラと反射し、神秘な世界に迷い込んだような気分に…。

シーンと静まりかえった銀世界で、冷たく澄んだ空気を吸い込むと、体の内側から浄化されていくような感覚に包まれます。
雪景色とは全く違う、“最果ての地”でしか味わえない感動的な光景です。
凍てつく寒空の下、もうひとつ参加者たちの熱量を上げたものが。
遮るもののない景色と遠近法を生かした「トリック写真」です。

ガイドさんにアドバイスをしてもらいながら、和気あいあいとポーズを取る参加者たち。
世代間・会社間の距離が一気に縮まる体験となったようでした。

■北方領土・国後島が目の前に!流氷押し寄せる波打ち際
野付半島で“最果て”を感じさせるもうひとつの景色が、海越しに望む『国後島』。
約16km先の国後島を間近に感じることができます。

訪れた日は運良く、知床半島を越えてやってきた流氷も見ることができました。
野付半島に流氷がやってくるのは1月下旬〜3月上旬。出現するかどうかはその年やその日の天候に左右され、風の強かったこの日は、お昼前になって野付半島に流れ着いたそうです。
自然の迫力を目の当たりにし、参加者の皆さんも興奮が隠せない様子でした。
■大パノラマの台地で「地球は丸い」を実感!
標高270mの台地『開陽台』。中標津市街地から車で約40分のこの場所は、“330度平原”の大パノラマが広がる中標津町のランドマークです。
開陽台に立って大地を見渡すと、空と大地をわかつ地平線がごくごく緩やかに曲線を描いているのがわかります。
これは、「地球が丸い」から。

展望台にのぼると…

330度は大平原、残りの30度は1,000m級の山々が連なる壮観な景色が広がります。
稜線と地平線に囲まれた大自然の真ん中では、夜になると辺り一面に大粒の星が煌めき、また違った感動を与えてくれるそう。
※展望館は冬季休館。展望台(展望館屋上)・駐車場は利用可能ですが、冬季夜間は気温が下がり足場も悪くなるのでご注意ください。
視界を遮るもののない“最果ての地”ならではの雄大な景色を、さまざまな角度で味わうことができるのも中標津空港エリアの魅力です。
▼続きは後編で…
ここまで、“冬の中標津空港エリア”の魅力 ①酪農 ②最果ての地 をレポートしてきました。
残る1つのキーワード【③海の幸】は、後編で紹介!
絶品海鮮料理はもちろん、この地域に脈々と続く、“海の生き物と人間”のドラマの存在にも触れていきます。
★後編へつづく★
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投稿を表示普段はなかなか観られない光景ばかりで感動しました。全く異なる日常がここにあって、非常に惹かれました。
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投稿を表示搾乳機は、もしかすると多くの牧場で使われているかなと想像していましたが、
ここまで進んだ技術が導入されているとは思いませんでした。
少しでも、酪農や農業に携わる人が増えたら良いですね。
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投稿を表示大自然の美しさと厳しさ。
あんな夜空を見上げたら感動でしょうね。
牛乳をたくさん飲まないと!