【レポート】北海道・中標津空港エリアワーケーション取材レポート(後編)
大地と海の壮大さに心震える!自然の恩恵を余すことなく味わうワーケーション
― 根室中標津空港から始まる、“ひがし北海道の冬”濃密ステイ ―
北海道東部の「ひがし北海道エリア」は、世界自然遺産『知床』や日本国内初のラムサール条約登録湿地『釧路湿原』などに象徴される“自然のワンダーランド”。
その中でも“東の最果て”に位置する「中標津空港エリア」(中標津町・標津町・別海町・羅臼町・根室市の1市4町)は、根室中標津空港をアクセス拠点としたコンパクトな範囲に、市街地はもちろん、雄大な自然が感じられる観光スポットが詰まった “遊びと仕事を両立しやすい”地域です。
この記事では、中標津空港エリアで行われた、働きながら休暇を取る“ワーケーション”のモニターツアーの様子をお伝えします。
ANAグループ社員13名が参加した3泊4日のツアー。同行した「わらって地域ソウセイ!編集部」が、<“冬の中標津空港エリア”の魅力 3つのキーワード>を紐解きながら、ツアーの様子をレポートします。
<“冬の中標津空港エリア”の魅力 3つのキーワード>
その① 酪農
その② 最果ての地
その③ 海の幸
★その①【酪農】、その②【最果ての地】のレポートは、前編をご覧ください★
<“冬の中標津空港エリア”キーワード その③【海の幸】>
■スノーシュートレッキングで学ぶ!脈々と続く“鮭”をめぐる人類の歴史
ワーケーション3日目の目玉アクティビティは、標津町『ポー川自然公園』でのスノーシュートレッキング。
ガイドさんの案内で、分厚く積もった雪の上を歩きながら、野生動物の足跡や冬の樹木を観察する約2時間のツアーです。


道なき道を進み、勇気を出して新雪に一歩踏み込む体験は、まさにアドベンチャー!

サクッ、サクッ、ザッ、キュッ、キュッと雪を踏みしめる音色を楽しみながら、木々の隙間を進んでいきます。
雪の地面を裂くように走る『ポー川』。シャーベット状に凍っていました。

森の中に入っていくと、あちらこちらにクレーターのような大きなくぼみが!
これは、古代の堅穴住居跡。この周辺では、1万年前から17世紀に至るまで途切れることなく人が暮らしていたといいます。

大人が優に寝転がれる広さのくぼみは、ポー川流域に4,400以上存在し、それぞれ作られた時代が異なるものの、あらゆる時代の穴から、多量の“鮭”の骨が見つかったそうです。
1万年も前から、ここに “鮭”を求めてやってきた人々がいたという、途方もない歴史を目の当たりにすると、自然の偉大さに感銘を受けずにはいられません。

森のところどころに残る小さな足跡…これはキツネのもの。

木の幹に残った傷は、エゾシカがツノをこすりつけてできたそう。
参加者にとって、森で暮らす生命の息吹と歴史ロマンを一度に味わえる壮大な冒険となったようでした。
続いて、『標津サーモン科学館』の見学へ。
「サケ科魚類展示種類数日本一」という“サケ”に焦点を当てたこの施設は、聳え立つタワーの上にサケの卵が3個のったユニークな外観をしています。
館内には、サケの稚魚・遡上・産卵など時期ごとに異なる生態を観察できる水槽や、サケの仲間をはじめとした標津の海に暮らす魚を展示する水槽などがあります。


そのほかにも、2020年に文化庁の『日本遺産』に認定された「『鮭の聖地の物語』~根室海峡1万年の道程~」の常設展示も。 “鮭”に支えられ続けてきた人々の営みについて、時代別に説明されています。

文化や産業にも大きな影響を与えた“鮭”。
さまざまな角度から学ぶにつれて、参加者の“鮭”への関心が増していった時間でした。
■ホタテにサケにイクラにあさり!野付湾名産の北海シマエビも!
海鮮でお腹も心も満たすランチタイム
ツアー2日目の昼食は、別海町の『食事処 白帆』で和定食。

お店のすぐ裏には野付湾に面した『尾岱沼漁港』があり、そこで獲れた魚介類を使った定食や丼が人気だそう。
この日の定食にも地元産の食材がこれでもかとばかりに豊富に盛り込まれていました。

旬のホタテは刺身とフライに。焼き物のマスに添えられているのは、野付湾名物の北海シマエビ。そのほかにも白身魚のチカのフライ、アサリの味噌汁。
ホタテは、鮮度抜群で肉厚。海の恩恵を強く感じ、参加者の感動もひとしおだったようです。
ツアー3日目の昼食は、標津町の『郷土料理 武田』で海鮮丼。

シロザケ(秋鮭)、イクラ、サケ節、ホタテがのった丼は、その名も『しべつ鮭三代漬け丼』。

参加者から「珍しい」「初めて食べた」という声が上がった『サケ節』は、地元・標津町の加工場で作られたもの。
白醤油で味付けされたイクラは、プリッとハリのある見た目とは裏腹に、口に入れた瞬間に溶けていきます。店員さんが「口の中に皮が残らないで消えていくのがいいイクラ」だと教えてくれました。
標津近郊の漁港で水揚げされたホタテの稚貝が入った味噌汁、北海道のブランド米『ななつぼし』『ゆめぴりか』をブレンドしたご飯も絶品。
地元に精通されている店員さんが食材の説明をしてくださり、味はもちろん、“その土地のことを学びながら食する”という時間に、参加者の満足度はとても高かったようです。
両日のランチに出てきた旬のホタテ。
ホタテ漁について学ぶべく、ワーケーション3日目の朝、『標津漁港』へも足を運びました。

ホタテ漁に対する熱量がひしひしと伝わってくるガイドさんの解説のおかげで、肉厚ホタテへのありがたみが一層増した参加者の皆さんでした。

探索して食べて学んで…五感をフル活用して“海の幸”を味わわせてくれるコンテンツの豊富さも中標津空港エリアの魅力です。
<充実したワーク時間はここで叶う!>
ワーケーションの醍醐味は、観光・アクティビティ後の“仕事”!
ツアー2日目と3日目の観光後、4時間(半日)のワーク時間が設けられていました。
アクティビティを通して、普段の生活とは違う刺激を受け、いろんな感情が心を駆け巡った後の“仕事”。
参加者のみなさんはどんな様子で取り組んでいたのか?
中標津町内のコワーキングスペースでの仕事の様子をレポートします。
■キャンピングトレーラーで過ごす“非日常”ワーク体験
街中にいながらアウトドア気分を味わえるカフェ『UBコーヒー』でのワークタイム。
入った瞬間目に飛び込んでくるのは、積み上げられた薪、ランタン、炎を眺めながらキャンプ気分に浸れる円形のテーブル…

おしゃれなインテリアに興味津々の参加者たちは、店内を散策して回った後、それぞれお気に入りの席でワーク開始。各席にコンセントがあり、PC作業も快適です。
リモート会議の予定が入っていた参加者は、カフェの駐車場に置かれたキャンピングトレーラーへ…

内部は…

リビングと見紛うトレーラー内には、エアコン、コンセント、Wi-Fi、水道完備。
窓の外には雪景色が広がり、“冬キャンプ”気分を味わいながら仕事ができます!
秘匿性の高いオンライン会議にも最適です。
ワークのお供には、『UBコーヒー』こだわりの“地元食材をふんだんに使ったスイーツ”を。
こちらは中標津産と別海産の牛乳を使用したソフトクリームと、中標津産の大麦を使用したモルトアイス&モルトゼリーのパフェ。
おしゃれ空間とゆったり流れる時間、地元への想いがこもったスイーツ…
『UBコーヒー』の心安らぐ環境が、参加者の業務品質を上げてくれたワークタイムだったようです。
■地元に根ざしたアットホームな空間で、中標津の“日常”を感じる集中ワークタイム
別の日は、コワーキングスペース『milk』へ。
名前の通り、『milk』では『なかしべつ牛乳』がフリードリンクとして用意されています。
施設内は、会話OKの交流スペースと、会話禁止の集中スペースに分かれていて、参加者はそれぞれの業務内容に合わせて場所を選んでいました。
参加者の多くが利用していた交流スペースは、暖かい陽の光が差し込む空間。

集中スペースでは、勉強に精を出す地元高校生もチラホラ…
中標津の“日常”に触れて心和む瞬間が、仕事のいいスパイスになったようです。
参加者の皆さん、午前中に極寒の中観光をしてきたとは思えないほどの集中力で黙々と仕事に勤しんでいました。
<ひがし北海道の隠れた味覚…エゾシカ>
北海道のみに生息するエゾシカ。1990年代から爆発的に増え始めたエゾシカは、森の生態系に影響を与えるほか、畑の作物・牧草被害、交通事故を起こすなど、北海道各地で問題となっています。
ひがし北海道エリアではエゾシカ問題を解決すべく、『ANAあきんど釧路支店』が「エゾシカを使ったふるさと納税返礼品開発」に取り組んでいます。
今回のツアーでは、ANAあきんどと共に商品開発を行っている中標津町の『中国料理 大和殿』にて、エゾシカ料理を体験しました。

ステーキはクセや臭みはなく、しっとり柔らか、味はあっさりめ。ジビエ初体験の人も抵抗なく食べられる一品です。

エゾシカ肉を使った四川しびれ麻婆豆腐とザンギ。しびれと辛味が食欲をそそる麻婆豆腐も、低脂肪・赤身のエゾシカ肉の存在が、食べ過ぎの罪悪感を軽減してくれます。
料理をきっかけに、地域が抱える問題を知り、日本の食糧危機やSDGsについても考えを巡らすきっかけになった夕食でした。
中標津空港エリアワーケーションモニターツアーのレポートは以上となります。
根室中標津空港から始まった3泊4日は参加者にどんな影響を与えたのか?
「地元事業者やガイドの方など、そこで暮らす方々の想いを共有しながら、地域の魅力はもちろん、地域が抱える課題も認識することができ、自分の立場で何かできることがないか?と考えるいい機会となりました。」
ひがし北海道の冬を楽しむワーケーションに参加してみたら…
インターネットで情報を集めるだけでは得られない、“心を震わせる学び”がたくさんありました。

最後までお読みいただきありがとうございました。感想などご投稿いただけると幸いです。
(SMILE ちいき SOUSEI project 編集部)
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投稿を表示エゾシカと馬肉を使った、その名も「馬鹿ヤローカレー」はご存じでしょうか?学校給食にも出て来ますし、お土産として購入も可能です。わが岐阜県郡上市も鹿肉のジビエ料理を研究・販売しているため、親近感が湧きました。
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投稿を表示ふるさと納税返礼品でいただいた野付漁協のサケはとっても美味しかったですよ。
食糧危機!エゾシカも期待しています。
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投稿を表示四十年も前に一度きり訪ねただけの釧路湿原近辺にはあたらためて新鮮な驚きのレポートでした。冬期の風景はもちろん、昨今のジビエにも興味が湧きました。